主任挨拶

金沢大学 作業療法学専攻へようこそ

作業療法は、病気やケガ,もしくは,生まれながらに障がいのある方などを対象に,基本的な動作能力(運動,感覚,心肺,精神,認知など)や応用的な動作能力(食事,更衣,排泄,家事など),さらに社会的な適応能力(就学,就労,地域活動の参加など)を維持・改善し,「その人らしい」生活を再獲得して,人が豊かに生きることを支援する専門職です.作業療法士は,医療,福祉,保健,教育,就労支援など多くの分野で活躍しています.また本学においては,1979年に国立大学として全国初の医療技術短期大学部として設置され,1995年には医学部保健学科として発足し,これまでに多くの卒業生を臨床,研究,教育の分野に輩出しています.

本学の教育方針としては,リハビリテーションの知識・技術の伝授だけでなく,学生自ら考え,自ら導き出す過程を重視しています.そして何よりも人に寄り添う,思いやりの持てる医療従事者の育成を大切にしています.また医療においては,常に新しい診断,治療の開発の努力がなされ,患者・対象者に最善の治療を提供することが求められています.“The best way to predict the future is to invent it.“(Alan Curtis Kay)とあるように,大きな壁に遭遇したならば諦めるのではなく,「挑戦」する勇気と「実現」に向けて繰り返す努力が新たな未来を築くものと考えています.作業療法はまだまだ発展を求められている分野です.未来を担う人を育成することは必須であり,まさに「人は石垣」です.皆さんが本学に入学された際は,我々と一緒に作業療法の未来を作りましょう.お会いできる日を楽しみにしています.

作業療法学専攻主任 西村誠次

専攻の理念

  • 作業療法とは:
    人間が環境に適応して健康な生活をおくるための問題解決をなす実践科学であり、対象者の能力回復や福祉機器・環境等の活用と調整によって、生活の自立及び尊厳の回復をなすための実践技術を研究する学問です。

  • 活動の場:
    病院・施設・地域・在宅において活動するだけでなく、健康指導、就労支援、参加援助、更生指導など、チーム医療・支援にも役割を担います。

  • 教育目標:
    ヒューマニズムに立った職業倫理で、作業療法の知識と技術を修得し続ける専門職として、実践による自信と誇りをつちかって、医療に貢献できる人材を養成します。

  • 教育内容:
    1~2年次は人間科学などの共通教育科目で基礎学力を構築し、人体の構造・機能・病態などを理解し、リハビリテーションの心と作業療法の専門知識・技術を学びます。3年次には大学、関連病院・施設において作業療法の評価とプログラム立案技術を学び、4年次前期には関連病院・施設での総合臨床実習によって作業療法の専門技術を統合して習得します。また後期には実験や調査の研究を行い、大学院へつながる卒業研究をおこないます。

  • 社会への貢献:
    疑問を検討しながら臨床実践能力を確実に高める学部教育の充実を基本として、大学院を有する総合大学の特質を活かし、社会が求める医療・保健のニーズに対応できる優れた研究マインドを持つ実践者を育成します。そして将来の臨床・教育・研究のリーダーとして発展を導き社会に貢献する人材育成に努め、北陸の基幹大学として地域の期待と役割に応え、日本の先端を開く任務につくしています。

求める人材

  • たゆまず努力して自分の能力を高めようとする人
  • 専門技術や知識を高めて社会に貢献する意欲を持つ人
  • 病める人に対する医療のために情熱をもやすことのできる人
  • 障害を治し人間の新たな能力を引き出し活用する作業療法を修得し発展させたい人
  • 自分の弱点を良い点に変え、自分の眠る能力を引き出し、自分を作っていきたい人

学類の沿革

昭和54年(1979) 4月 金沢大学医療技術短期大学部・作業療法学科の設置(国立大学では全国初)

平成 7 年(1995) 10月 医学部保健学科(4年制)として発足

平成16年(2004) 4月 金沢大学が国立大学法人となる

平成20年(2008) 4月 医薬保健学域・保健学類・作業療法学専攻に改編

平成28年(2016) 4月 講義の開講にクオーター制(8週)が導入される。これまでは前期・後期(15週)であった。

令和 4 年(2022) 4月 3年次編入学で新たなプログラム(ダブルプロフェッショナル)が開始となる

大学院について 

 近年、作業療法士の需要は急性期、回復期の医療から、維持期、在宅の福祉までますます増大している。その社会的ニーズに応え得る人材育成のために、高度な知識、技術を持ち、組織の中で指導的な役割を担う教育者、研究者および専門技術者の育成が急務となっている。リハビリテーション科学領域の分野は、心身機能、日常生活能力、社会適応能力さらに高次脳機能など渡り、幅広い領域を研究の対象としている。リハビリテーション科学領域では治療技術、評価方法の開発や研究には、他の基礎、臨床医学分野や理工系などの複合領域によって支えられ、様々な研究が行われている。

博士前期課程

 基本的な3つのコースを用意している。

  1. 高度の専門臨床技術を習得した理学療法士、作業療法士の育成
  2. 専門研究マインドを持って臨床にあたり、学会発表、論文作成を通して、将来にわたり臨床研究を遂行することが可能な専門職としての修士の育成
  3. 博士後期課程の準備として、基礎研究から積み上げた事実に基づいた理学療法・作業療法の実践(Evidence-Based Practice、EBP)の考え方に拠った研究方法の習得、論文作成を通しての研究者の育成

博士後期課程

 心身機能や高次脳機能に関する多面的な評価・解析から、機能低下の要因と病態の解明、そして機能低下状態からの回復と自律を可能にするため、発生予防、治療法の開発などを推し進めている。高度先端医療に基づく、基礎的及び臨床的な研究における機能回復のみならず、人間としての尊厳に満ちた生活を実現させ、生活の質の向上を図るためのリハビリテーション技術の開発を推進している。また障害を伴った人が、健康な人と同じようにバリアフリーな生活を享受できるよう、リハビリテーション科学に基づいた福祉機器開発のための研究を介して、新たなリハビリテーション科学の構築を試みる。以上、博士後期課程は高度な専門医療職業人の育成を通じて、優れた教育者、研究者を育成することを目的としている。

大学院の沿革

平成12年(2000) 4月 金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻(修士課程)設置

平成14年(2002) 4月 金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻(博士後期課程)設置(修士課程は博士前期課程となる)

平成24年(2012) 4月 金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻(博士前期・後期課程)設置